東京地裁(平成2年64日)“液体供給システム事件構成要件1A2は、構成要件1A2の『該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点』を『該液体インク収納容器に備えられる接点と電気的に接続可能な装置側接点』に変更するものである。上記変更は、本件訂正前の請求項1において、構成要件1A2及び1Bが、いずれも、インクタンクに備えられる接点と装置側接点との関係を表現したものであるにもかかわらず、構成要件1A2では『結合』と表現され、構成要件1Bでは『接続』と表現されているために、表現が混在していたものを『接続』という表現に統一して明確にしたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであると認められる。また、インクタンクに備えられる接点と装置側接点とが接触する関係を『接続』と表現することについては、本件明細書・・・・にも記載されているから・・・・、同訂正は、明細書に記載した事項の範囲内において行われたものであると認められる」、被告は『結合』とは、コンセントやプラグ、コネクタなどのように、接点同士が物理的に一体となる態様を表すのに対し『接続』とは『つなぐこと。また、つながること』を意味し『1つになる』ことまで意味するものではないから、構成要件1A2及び1A4の『結合』を、それぞれ同1A及び1A4の『接続』に変更することは、特許請求の範囲を拡張するものであり、かかる訂正は、特許法134条の2第5項で準用する126条4項に違反し、許されないと主張する。しかしながら、上記訂正が明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、明細書に記載した事項の範囲内において行われたものであると認められることについては、前記・・・・のとおりである。また、本件明細書における、インクタンクに設けられた接点と、プリンタのホルダに設けられた接点との関係について記載した部分・・・・をみれば、本件訂正前の請求項1における『液体インク収納容器に備えられる接点』と『装置側接点』との『電気的』な『結合』ないし『接続』とは、接点同士の接触により電気信号のやり取りが可能な状態となることを意味するものであり、被告の主張するような、接点同士が物理的に一体となる態様を意味するものではないことは、明らかである。したがって、被告の主張は理由がない」と述べている。

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