知財高裁(平成22年8月19日)“半導体レーザ装置事件”は、「本件では、被控訴人は、少なくとも競業他社の一部に対し、本件各特許の実施を許諾しているものと認められる(サイト注:実施の事実は認定されていない)ところ、控訴人は、被控訴人が本件各特許を自ら実施しているとして、それによって得た利益を相当対価算定の根拠として主張している。このような場合、使用者等が、当該特許権を有していることに基づき、実施許諾を受けている者以外の競業他社が実施品を製造、販売等することを禁止することによって得ることができたと認められる収益分をもって、『その発明により使用者等が受けるべき利益の額』というべきである」、「被控訴人がいわゆる『開放的ライセンスポリシー』を採用していたとは認められず、本件各特許にかかるレーザーカプラータイプの光学ピックアップの代替技術としては、ディスクリートタイプ及びホログラムタイプの2つが存在することが認められるのみであって、市場全体からみて本件各特許の存在が無視できるような特段の事情はないことからすれば、被控訴人において、従来からディスクリートタイプの光学ピックアップを製造・販売してきたことや、本件クロスライセンス契約の相手方であるA社が、本件各発明を実施しているか否かが不明であることを考慮してもなお、本件において、被控訴人は、本件光学ピックアップを製造・販売することにより、一定程度の『超過利益』を得ていたというべきであり、本件での諸事情をすべて考慮すると、『超過売上げ』の割合は3分の1であったものと認めるのが相当である」、「本件での一切の諸事情、とりわけ、レーザーカプラータイプの光学ピックアップには、ほぼ同等の代替技術が2つ存在し、被控訴人との間で本件クロスライセンス契約を締結したA社等以外に、被控訴人に対してライセンスを申し込んできた事例が多かったとは認められないこと、被控訴人が本件光学ピックアップに関し合計●(省略)●件もの特許や実用新案を有していること、本件各発明は、PS等のゲーム機の一部分であるディスクドライブの一部分である光学ピックアップの、さらに一部分であるレーザーカプラーに関する発明にすぎないこと、社団法人発明協会が行った実施料率についてのアンケート結果等を考慮し、本件での仮想実施料率を●(省略)●%と認定するものである」、「控訴人がその対価を請求している本件発明AないしE内における、各発明の占める割合についても、これを認めるべき適切な証拠はないところ、控訴人は、当初、本件発明AないしFにつき、25%、25%、10%、25%、10%、5%と主張しており(ただし、本件発明Fについては請求撤回済み)、被控訴人も、同割合について特段争っていないため、弁論の全趣旨により、本件発明AないしE全体に占める本件発明AないしEの各割合につき、95分の25、95分の25、95分の10、95分の25、95分の10であるものと認める」と述べている。 |