東京地裁(平成3年2月8日)“開蓋防止機能付き密閉容器事件『垂設』という用語は一般的用語ではないが『垂』については『たれること。ぶら下がること』という意味があり『垂れる』については『重みで下にだらりとさがる。先端がさがった状態になる』という意味があるものと認められる(いずれも広辞苑第4版。そうすると、構成要件Fにおける『摘みを垂設』とは、垂れ下がるように、下向きに摘み・・・・が形成されていることを意味するものと解するのが相当である。これを被告製品についてみるに、被告製品における摘みはいずれも水平方向(容器面に対して平行)に設けられており、垂れ下がるように下向きに形成されたものはない(弁論の全趣旨。したがって、被告製品は、いずれも構成要件Fを充足すると認めることはできない」、原告は『摘みを垂設』とは、摘みが容器側面に対して略垂直方向(水平方向)に設けられていることを意味し、そのような構成を備える被告製品はいずれも本件発明の構成要件Fを充足すると主張する。しかしながら、かかる用語の使い方は前記した『垂』の字の一般的な意味、用法に明らかに反しており、本件明細書に『垂』ないし『垂設』をそのような特別な意味、用法で使用することについての記載がない以上、上記解釈は採り得ない。したがって、原告の主張は採用できない」と述べている。

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