知財高裁(平成3年63日)“食品の包み込み成形方法事件特許法101条4号は、その物自体を利用して特許発明に係る方法を実施する物についてこれを生産、譲渡等する行為を特許権侵害とみなすものであるところ、同号が、特許権を侵害するものとみなす行為の範囲を『その方法の使用にのみ用いる物』を生産、譲渡等する行為のみに限定したのは、そのような性質を有する物であれば、それが生産、譲渡等される場合には侵害行為を誘発する蓋然性が極めて高いことから、特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその効力の実効性を確保するという趣旨に基づくものである。このような観点から考えれば、その方法の使用に『のみ』用いる物とは、当該物に経済的、商業的又は実用的な他の用途がないことが必要であると解するのが相当である」、同号の上記趣旨からすれば、特許発明に係る方法の使用に用いる物に、当該特許発明を実施しない使用方法自体が存する場合であっても、当該特許発明を実施しない機能のみを使用し続けながら、当該特許発明を実施する機能は全く使用しないという使用形態が、その物の経済的、商業的又は実用的な使用形態として認められない限り、その物を製造、販売等することによって侵害行為が誘発される蓋然性が極めて高いことに変わりはないというべきであるから、なお『その方法の使用にのみ用いる物』に当たると解するのが相当である」と述べている。

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