東京地裁(平成23年8月26日)“動物用排尿処理材事件”は、「被告は、@被告各製品と同等の原告製品は、被告各製品の1.5倍程度の価格で販売されており、被告各製品の主たる販売要因は、その価格競争力にあること、A被告各製品には、本件発明以外にも、被告が保有する特許第2895963号(乙35)、特許第2971949号(乙36)、特許第3288316号(乙37)、特許第3288317号(乙38)及び特許第3315394号(乙39)の各請求項1に係る各特許発明が実施されており、これらの特許発明が被告各製品の販売に寄与していることからすれば、本件発明の被告各製品に対する寄与率は極めて低いというべきであり、その寄与率は、最大限考慮しても10%を上回るものではないから、原告の受けた損害額は、多くても被告が被告各製品の販売により得た利益の額の10%を上回るものではない旨主張する。しかしながら、被告の主張は、以下のとおり理由がない」、「被告各製品は、他の猫砂・・・・と比較して、吸尿によって変色し、それによって使用部分と未使用部分を視覚的に容易に判別することができる構成となっている点を重要なセールスポイントとしていることが認められる。そして、そのようなセールスポイントは、本件発明の構成によるものであるから、被告各製品の商品としての主たる価値は、本件発明からもたらされるものと評価できる。これに対し被告は、被告各製品と同等の原告製品は、被告各製品の1.5倍程度の価格で販売されており、被告各製品の主たる販売要因は、その価格競争力にある旨主張するが、本件においては、被告各製品の仕入値が原告製品に比して低いことを裏付けるに足りる客観的な証拠は提出されていないのみならず、仮に被告各製品の価格が同等の原告製品より低かったとしても、そのような価格は本件特許を無許諾で実施した結果形成されたものというべきであるから、本件発明の寄与率に影響するものとは認められない」、「乙35ないし乙39の各特許の請求項1に係る各発明は、いずれもその構成において、原材料である廃材粉や粉砕物の『粒度』を規定しているところ、本件においては、被告各製品の原材料の粒度を具体的に特定するに足りる証拠は提出されていないことからすると、被告各製品が上記各発明を実施しているかどうかは定かでないといわざるを得ない。また、仮にこれらの発明が被告各製品に実施されているとしても、そのことが被告各製品の重要なセールスポイントとなるなど、被告各製品の販売に具体的に寄与していることを認めるに足りる証拠はない」、「以上のとおり、被告各製品のセールスポイントは、本件発明の構成によるものであり、被告各製品の商品としての主たる価値は、本件発明からもたらされるものといえるから、本件発明の寄与率は、100%と認めるのが相当である」と述べている。 |