知財高裁(平成23年9月8日)“圧力波機械付きの内燃機関事件”は、「引用例1及び2は、いずれもエンジンのコールド・スタート特性に関する記載や示唆がないから、当該特性の改善とは関係のない技術に関するものであって、これらに記載された発明を基にしてコールド・スタート特性を改善することを想到するに足りる動機付けがない。むしろ、引用例1に記載の発明は、圧力波機械を冷却する可能性を内包しており、引用例2に記載の発明は、熱交換により圧力波機械を含む過給機に流入する排気を冷却するものでもあるから、圧力波機械に流入する排気を加熱する構成を採用する上では、いずれも阻害事由がある。したがって、コールド・スタート特性の改善が一般的な課題であり、かつ、火花点火機関に三元触媒を用いる技術及び内燃機関の排気側の管路に、空気、燃料供給源からなるバーナや電気式加熱装置である加熱装置を設ける技術が周知であったとしても、引用発明1Aに接した当業者は、当該課題を解決するため、引用例2に記載の発明及び上記周知技術を適用し、『空気、燃料供給源からなるバーナあるいは電気式加熱装置』である『加熱装置』を三元触媒と圧力波機械との間に配置することで圧力波機械に流入する排気を加熱する構成(相違点3)を採用することを容易に想到できなかったものというべきである」と述べている。 |