知財高裁(平成24年1月24日)“ソリッドゴルフボール事件”は、「一審被告は、原判決が、原告製品を5種類のゴルフボールに特定しながら、特許法102条1項ただし書の『販売することができないとする事情』を考慮するに際しては、原告製品のマーケットシェアを原告製品の全製品としている点が誤りである旨主張する。しかし、一審原告も主張するように、一審被告による侵害品が市場に存在しなかったと仮定した場合、原告製品をどの程度代替して販売し得たかを検討するに当たっては、特定の原告製品に最も対応すると解される競合他社の製品を抽出して、かかる競合製品市場でのシェアを参考にすべきであるが、現実には、かかるシェアの算定は困難であり、各社のゴルフボール全体でみたシェアで代用することには一定の合理性がある。そして、同シェアは、ゴルフボールメーカー各社の特許等の知的財産権、営業努力やブランド力が総合的に反映された結果であると解されるので、これを参考にすることは合理性があるといえる。以上のとおり、原判決が、特許法102条1項ただし書において、一審原告の全製品を含むマーケットシェアを考慮したことに誤りはない」と述べている。 |