大阪地裁(平成4年0月6日)“血小板保存用バッグ事件被告は、医療器具や医薬品容器の製造販売等を事業内容としており、これらに関する研究については、滋賀県草津市に総合研究所を置いて研究体制を整えているところ、本件発明1−1、2−1、3−1は、いずれも、被告の上記事業内容に関するもので、上記研究所における研究体制においてされたものである。そして、それぞれの発明に関する開発テーマについては、本件発明1−1については、・・・・成分献血が開始されることに伴い、被告の営業担当職員によって、開発テーマ申請書が提出されているのであって、被告の主導によって、開発テーマが決定されたといえる。また、本件発明2−1については、・・・・原告が本件発明等1の試験を行う過程で、P6博士から提案を受けたことがきっかけとなっているが、上記試験自体は、原告が被告の従業員として行っていたものであることからすれば、開発テーマの決定における被告の貢献を軽くみることはできない。また、本件発明3−1については、・・・・藤沢薬品工業から一体化キットの共同開発の話があったことがきっかけとなっているが、これについても、やはり被告の主導で開発テーマが決定されている。また、被告は、・・・・本件発明1−1、2−1、3−1についての権利化を行っている上、これらの実施品である本件実施品1ないし3の販売についても、被告又は被告と共同開発した藤沢薬品工業の営業力、販売力を背景にされたものといえ、また、被告はその販売のリスクも負担していたのであるから・・・・、被告の貢献は大きいものといえる。そして、原告は、・・・・被告の総合研究所において研究業務に従事し、その職務として本件発明1−1、2−1、3−1をしており、・・・・本件実施品1ないし3の販売等に関する功績で表彰され、本件実施品1については合計2万3000円、本件実施品2については合計5万6000円、本件実施品3については合計3万円をそれぞれ受領している。そうすると、本件発明1−1、2−1、3−1に関し被告が貢献した程度は、5%を下回るものではないと認められる」と述べている。

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