知財高裁(平成4年0月1日)“通信システム事件原告は、請求項1に係る本願発明につき特許法9条2項の規定により特許を受けることができないとした審決の判断については争っておらず、審決が、その他の請求項に係る発明について検討することなく出願全体を拒絶した点について、請求項3〜0に係る発明が進歩性を有することを理由として取り消されるべきであると主張する。しかしながら、特許法は、1つの特許出願に対し、1つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ、これに基づいて1つの特許が付与されるという基本構造を前提としており、複数の請求項に係る特許出願であっても、特許出願の分割をしない限り、その特許出願全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかない。したがって、一部の請求項に係る発明について特許をすることができない事由がある場合には、他の請求項に係る発明についての判断いかんにかかわらず、特許出願全体について拒絶査定をすべきことになる。本件において、請求項1に係る本願発明が特許法9条2項の規定により特許を受けることができないものであることは、原告も争っておらず、そうである以上、請求項3〜0に係る発明について判断するまでもなく、本件出願は出願全体として拒絶されるべきであるから、これと判断を同じくする審決に違法はない」と述べている。

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