大阪地裁(平成4年0月4日)“トンネル用コンクリート打設方法事件細野トンネル方法発明、同装置発明は、細野トンネル工事に使用されたのであるから、同工事において、これらの工法、装置が実施された工事のうち最初のコンクリート打設工事が終了した時点(平成4年1月5日であることについて、明らかな争いはない)では、発明として完成したといえる。一方、・・・・原告方法及び原告製品は、被告各特許発明の技術的範囲に属すると認められるところ、細野トンネル方法発明及び同装置発明と、原告方法及び原告製品は、技術的に同一ということができる。すなわち、・・・・細野トンネル方法発明、同装置発明と原告方法、原告製品とは、目地材の内部、本体の長さ方向に貫通している通孔の直径が、前者は5mm、後者は8mmという点において相違するが、その余の構成は一致している。そして、上記相異点の違いにより技術的な意味において違いがあるとは認められない(仮に、細野トンネル方法発明及び同装置発明が、被告各特許発明と同一でないというのであれば、原告方法及び原告製品は,被告各特許発明の技術的範囲に属しないということになる。)。以上を総合すると、細野トンネル方法発明及び同装置発明は、被告各特許発明と同一ということができる」、被告特許の出願日は、平成4年3月2日であるところ、細野トンネル工事において、細野トンネル使用装置を使用し、同使用工法が実施されたのが、上記・・・・のとおり、それより前の同年1月5日であった。したがって、原告は、被告各特許発明を知らないで、細野トンネル方法発明、同装置発明を発明したということができ、他に、これを左右するに足りる証拠はない」、原告は、細野トンネル使用装置を製造の上、細野トンネル工事の元請業者に販売し、当該業者において、上記使用装置を用いて、細野トンネル方法発明を実施したことが認められる。したがって、原告は、細野トンネル使用工法、同装置を使用した事業の実施をしたといえる」、以上のとおり、原告は、被告特許発明を独自に開発し、これを事業として実施していたので、法9条により、被告各特許発明について通常実施権を有する」と述べている。

特許法の世界|判例集