知財高裁(平成4年1月5日)“スクレーパ濾過システム事件甲2発明は、汚泥等の脱水処理装置に関する発明であり、原告が主張するように、被処理物が食品として利用されることは予定されていない。しかしながら、本件発明が、原告が主張するように、豆乳原液などの食品原料について、その固形分から液体分を抽出搾汁すること、すなわち、被処理物を食品として利用することを目的とするものであるとしても、甲2発明と本件発明との技術分野が全く異なるということはできない」、「『脱水』と『ろ過』とは、固体と液体とからなる被処理物を固体と液体とに分離するという点において技術的に共通するものであるということができる。また、・・・・本件発明が、食品原料を被処理物とするための固有の構成や作用・効果を有するものであると認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件発明1のようなろ過システムに係る技術分野の当業者であれば、被処理物が食品原料であるかどうか、被処理物から分離された液体を採集して利用することを目的としているかどうかにかかわらず、脱水処理装置の技術分野における技術の適用を試みるであろうことは容易に想像される。この意味において、本件発明1のようなろ過システムに係る技術分野と、甲2発明の脱水処理装置・・・・に係る技術分野とは、それぞれの当業者が互いに他方の技術の適用を試みるであろう程度の技術分野の関連性が認められるということができる」と述べている。

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