大阪地裁(平成24年11月1日)“位置検出器事件”は、「被告は、ハ号スタイラスにつき、間接侵害(特許法101条2号)の除外要件である『日本国内において広く一般に流通しているもの』に当たる旨主張する。確かに、ハ号スタイラスの用途は、これを備え付けた場合に本件特許発明の技術的範囲に属することになるイ号検出器及びロ号検出器に限定されているわけではなく、本件特許発明の技術的範囲に属さない内部接点方式の位置検出器とも適合性を有するものではある・・・・。しかし、結局のところその用途は、位置検出器にその接触体として装着することに限定されており、この点、ねじや釘などの幅広い用途を持つ製品とは大きく異なる。また、そのような用途の限定があるため、実際にハ号スタイラスを購入するのは、位置検出器を使用している者に限られると考えられる。このような事情を踏まえると、ハ号スタイラスは、市場で一般に入手可能な製品であるという意味では、『一般に流通している』物とはいえようが、『広く』流通しているとは言い難い。また、そもそもこのような除外要件が設けられている趣旨は、『広く一般に流通しているもの』の生産、譲渡等を間接侵害に当たるとすることが一般における取引の安全を害するためと解されるが、上記のように用途及び需要者が限定されるハ号スタイラスにつき、取引の安全を理由に間接侵害の対象から除外する必要性にも欠けるといえる。したがって、ハ号スタイラスは『日本国内において広く一般に流通しているもの』に当たらず、この点に関する被告の主張は採用できない」と述べている。 |