知財高裁(平成4年1月9日)“電子部材事件甲1には、gをさほど使用しない2質量%以下の範囲のうち、g含有量1.5質量%付近において伸び(延性)が著しく向上するg成分範囲が存在することについては、何ら記載されておらず、また、それを示唆する記載も見あたらない。gの含有量を1.5質量%付近の『1.2〜1.7質量%』に限定すること(サイト注:相違点1)によって、安価に無鉛ハンダ合金を提供することが可能となり、延性を顕著に増大して耐熱疲労特性及び耐衝撃性を著しく向上できるという効果を奏することは、当業者において予想することは困難であるといえる。したがって、甲1には、相違点1に係る事項が記載されているとはいえず、相違点1は実質的な相違点である。また、甲1発明において、gの含有量を1.5質量%付近の『1.2〜1.7質量%』に限定する動機付けがあるとはいえないから、相違点1が、当業者が容易に想到することということもできない。審決が『相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1号証に記載された発明でないし、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない』と判断したことに誤りはない」と述べている。

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