東京地裁(平成4年1月2日)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件被告は、特許法102条2項による損害額の推定について、生海苔異物分離除去機の市場における原告のシェアが低いことを根拠として、同条項による推定が覆されていると主張する。しかしながら、同条項は原告の損害額の推定規定であるから、これを覆滅するためには、実際の原告の逸失利益の額が上記推定額より低額であることを立証しなければならないが、被告は単に原告のシェアが低いと主張するのみで、原告の逸失利益の額について何ら具体的に主張立証していない。また、生海苔異物分離除去装置の市場において、原告及び被告以外の他の業者が製造販売する競合品の特徴、性能及び価格等、競合品が本件発明又はその代替となる技術を実施しているか否か、原告のシェアが低く、他の業者のシェアが高い理由並びに原告の製造販売の能力など、原告の現実の逸失利益の額が上記推定額よりも低額であることを基礎付けるべき具体的な事情は、何ら明らかにされていない。そうすると、被告が主張する事情だけでは、同法102条2項の推定の全部又は一部を覆滅するに足りるものとは認められないから、被告の上記主張は採用することができない」と述べている。

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