東京地裁(平成24年11月2日)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件”は、「被告は、原告が本件回転板及び本件プレート板の競合品を販売していないことを理由に、本件回転板及び本件プレート板については、特許法102条2項を適用することができないと主張する。この点、・・・・被告が本件回転板及び本件プレート板を製造・販売等する行為は、本件発明3に係る特許権に対する間接侵害(同法101条1号)を構成するところ、間接侵害に当たる行為は、特許権侵害とみなされるのであるから(同条柱書)、これが同法102条2項の『侵害』に該当することを否定すべき理由はなく、また、侵害行為による損害額の立証が困難であることは、直接侵害の場合も間接侵害の場合も同様であることを考慮すれば、間接侵害にも、同法102条2項の適用があると解するのが相当である。そして、仮に原告が本件回転板及び本件プレート板そのものの競合品を販売していない場合であっても、・・・・原告は、被告装置の競合品であって、本件発明の実施品である製品を製造・販売しているのであるから、被告装置の生産にのみ用いられる本件回転板及び本件プレート板を製造販売する行為が、本件特許を実施している原告の利益を害することは明らかである。特に、本件では、本件回転板及び本件プレート板は、被告装置の単なる一部品というにとどまらず、いずれも本件発明に係る『共回り防止装置』を直接構成するものであるから、原告が製造・販売する製品は、本件発明の実施に当たる部分に、本件回転板及び本件プレート板と同等の構成を備えているはずであり、したがって、実質的には、原告の製品は、本件回転板及び本件プレート板と競合しているといえる。そうすると、本件回転板及び本件プレート板について、特許法102条2項の推定規定の適用が排除されると解すべきではなく、同条項の適用を認めるのが相当である」と述べている。 |