東京地裁(平成24年2月17日)“(3−アミノプロポキシ)ビベンジル類事件”は、「@本件各発明は被告が製薬事業を開始したばかりの時期におけるものであって、本件各発明は原告個人の能力が大きく貢献したものというべきであること・・・・、A・・・・本件各発明の完成には薬理班の研究者も大きな役割を果たしていることから、合成班と薬理班の連携が重要であったといえること、B臨床試験において用いられた高感度血小板凝集測定法は被告の薬理班が開発したものであること・・・・、C・・・・アンプラーグ(当サイト注:本件各発明に係る化合物を有効成分とする医薬品)は5−HT2受容体に対する選択的拮抗薬であり、血小板及び血管平滑筋細胞の5−HT2受容体を遮断して血栓形成部位におけるセロトニンの血小板凝集を抑制するとともに血管収縮を抑制することを特長とする薬剤であるところ、BP985が5−HT2受容体に対して選択的拮抗作用を有することを見いだしたのは被告の薬理班であること・・・・、Dアンプラーグは、セロトニン拮抗剤であり、他の抗血小板剤と作用機序が異なるため、医療関係者にその作用機序を理解してもらうため、通常の医薬品以上に営業努力が不可欠であり、MRを増員し情報提供活動を強化する必要があったこと・・・・、E新薬の研究開発から製造承認を得て製造販売に至るまでには、数多くのステップが存在し、研究開発や臨床試験、上市など、各ステップにおいて様々な専門の担当者が関与しており、1つの新薬の開発には10〜18年の期間と、150億円〜200億円の開発費用を必要とすること・・・・、F製薬産業は他産業に比べ研究開発費の占める割合が大きく、多くの新薬の候補化合物を合成しても新薬の成功確率は極めて低く、1成分当たりの研究開発費は日本の調査データによると500億円に上るなど、新薬の開発は膨大な費用と時間を要するのに、成功確率が極めて低く、リスクが大きいものであること・・・・等の事情を総合的に考慮すると、本件各発明における被告の貢献度は95%、発明者の貢献度は5%と認めるのが相当である」と述べている。 |