知財高裁(平成4年32日)“事件被告は、@特許庁による判定及び原審において、被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないとされたこと、A本件特許に係る無効審判請求事件において、本件特許の構成要件Bの『載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、・・・・切り込み部又は溝部を設け』るとは『載置底面又は平坦上面に切り込みを設けず、上側表面部の立直側面である側周表面に、切り込み部又は溝部を設け』ることを意味すると認定されていること、B本件特許の分割特許・・・・に関する判定において、被告製品が上記特許に係る発明の技術的範囲に属しないとされたことなどを理由に、被告製品が本件発明の技術的範囲に属しないと信ずるにつき相当な理由があったと主張する。しかし、被告の上記主張は失当である。すなわち、特許庁の判定制度は、法的拘束力がなく、上記分割特許は本件特許とは異なることからすれば、上記各判定の結果に基づいて被告製品を製造販売した被告の行為について、過失がなかったとすることはできない。また、原審において、被告製品が本件発明の技術的範囲に属しないと判断されたとしても、原審の判断をもって、被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないと信ずるにつき相当の理由があったとすることはできない。さらに、本件特許に係る審決についても、これをもって、被告製品が本件発明の技術的範囲に属しないと信ずるにつき相当の理由があったとする根拠にはならない。したがって、被告には、被告製品・・・・の製造・販売による本件特許権侵害に関して、少なくとも過失が認められる」と述べている。

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