東京地裁(平成24年4月25日)“圧電振動ジャイロ事件”は、「原告の貢献について検討するに、原告は、昭和62年時点において、圧電振動ジャイロを提案し、その後もB教授の被告社内における特別講演を依頼し、この特別講演が圧電振動ジャイロ開発の契機となっていることが認められる・・・・のであるから、このような圧電振動ジャイロ開発において原告が果たした役割は、原告の貢献と認めるのが相当である。他方で、被告の貢献について検討するに、・・・・被告は、従前の圧電材料を利用したのみならず新規の圧電材料の開発を行ってCG−L33以降の機種に搭載したこと、セットメーカーの協力を得て周辺部材の選択等のノウハウを確立してノイズ低減を実現したこと、電極印刷において工夫を重ねて印刷技術に改良を加え、圧電セラミックの支持体を金属とするなどの製造上の工夫を重ねたこと、各電極の半田部を円柱の外周面の片半分領域内に集合させて配置させることによって、上方に配置したすべての半田部から直接リード線を引くことを可能にしたこと(特許第3505686号)、駆動部の電極パターンと検出部の電極パターンとの形状が、検出部の共通アース電極の一軸方向の中央部分が欠かれていることにより異なっており、それにより圧電振動子に機械的加工を加えることなく振動方向の軸ズレの発生を抑制することを可能にしたこと(特許第4351346号)、B教授を特別顧問として採用して圧電振動デバイス関連の技術指導を受ける社内体制を整備したこと、平成2年には圧電振動ジャイロの開発部門に4名の人員を配置し、本件ジャイロの量産後も開発・量産の両部門を併せて10名以上の人員を配置したこと、本件ジャイロの量産設備投資として合計約6億8450万円の設備投資を行ったことがそれぞれ認められ、これらは被告の貢献と認めるのが相当である」、「そして、このような原告及び被告の貢献に加え、その他本件に現れた事情を考慮すると、本件発明1及び5について、被告の使用者貢献度は95%と認めるのが相当である」と述べている。 |