知財高裁(平成24年6月13日)“電動モータ事件”は、「物の発明における発明の実施とは、その物を生産、使用等をすることをいうから(特許法2条3項1号)、物の発明については、明細書にその物を製造する方法についての具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき当業者がその物を製造することができるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。これを本願発明についてみると、本願発明は、いずれも物の発明であるが、その特許請求の範囲・・・・に記載の構成を備えた電動モータであるから、本願発明が実施可能であるというためには、本願明細書の発明の詳細な説明に本願発明を構成する部材を製造する方法についての具体的な記載があるか、あるいはそのような記載がなくても、本願明細書の記載及び本件出願日当時の技術常識に基づき当業者が当該部材を製造することができる必要があるというべきである」と述べている。 |