知財高裁(平成24年7月11日)“土木・建築工事業者等選定システム事件”は、「特許法における発明とは、『自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう』(2条1項)ところ、ここにいう『自然法則を利用した』とは、単なる精神活動、数学上の公式、経済上の原則、人為的な取決めにとどまるものは特許法上の発明に該当しないものとしたものである。請求項1に記載の事項は、入札において一定条件による選抜と抽選を用いて業者を選定することをその構成とするものであって、全体として、人為的取決めに当たることは明らかである。原告は、確率論に基づく抽選が自然法則の利用に当たる旨主張するが、人為的取決めの中に数学上の法則によって説明可能な部分が含まれているというにすぎず、上記事項が人為的取決めに当たるとする前記判断を左右するものではない。請求項2以下についても、原告が準備書面で主張するところをもってしても、上記判断を超えて、これら請求項記載の事項が人為的取決めではなく自然法則を利用したものに該当するとの判断に至ることはできない。このように、特許請求の範囲に記載の事項は、全体として人為的取決めであり、自然法則を利用したものということはできず、特許法にいう『発明』には該当しないのであって、審決の判断に誤りはない」と述べている。 |