知財高裁(平成25年1月28日)“シンチレータパネル事件”は、「原告は、審決は、何ら主張立証のないまま、『蒸着により膜形成を行う場合、蒸着させる対象の表面の材質、構造により膜の成長がうまくいくかどうかが左右されることは、当業者にとって常識的な事項である』と認定し、これを相違点1に係る容易想到性判断の当然の前提としており、この点において理由不備の違法があるとと主張する。しかし、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者の技術上の常識又は技術水準とされる事実などこれらの者にとって顕著な事実について判断を示す場合は、その判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示することを必ずしも要しない(最高裁昭和59年3月13日・・・・判決・・・・参照)ところ、『蒸着により膜形成を行う場合、蒸着させる対象の表面の材質、構造により膜の成長がうまくいくかどうかが左右されること』は、当業者にとって常識的な事項であるから、この点について判断を示す場合は、その判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示することは必ずしも必要ではない。したがって、原告の上記主張は理由がない」と述べている。 |