東京地裁(平成25年12月13日)“安定材付きベタ基礎工法事件”は、「本件発明1は、そもそも被告の営業戦略上、B各特許に代わる特許の取得が必須であったことを契機としてその開発が進められたこと、本件特許1は、その出願後、拒絶理由通知及び拒絶査定を受ける中で補正を繰り返し、拒絶査定に対する不服審判を提起して、社外弁理士との協議を重ねる等の経過を経てようやく特許登録に至ったものであること、通常のベタ基礎に格子状の安定材を設けて地盤補強効果を得るとのMS基礎の基本的な技術は、平成5年から被告が培ってきたものであり、被告はこの技術を中心に営業を展開し、本件特許1の特許登録以前にも大きな販売実績を得ていたこと、本件発明1は、原告が従前のB各特許に類似した内容とすることを心掛けて開発したものであり、実際に特許登録された請求項の内容も、従前被告が施工してきたMS基礎の形態を取り入れたものであったこと、被告の内販売上げは、全て被告の親会社であるエス・バイ・エルからの発注によるものであり、そこには本件発明1が有する技術的優位性以外の被告とエス・バイ・エルとの繋がりによる経営上又は営業上の要因が相当程度寄与していたと考えられることなどの事情を総合考慮すると、本件発明1に基づいて被告が得た独占の利益については、本件発明1の技術内容以外の被告の貢献による部分が相当に大きいということができる。そうすると、原告が本件発明1の承継に基づいて被告から受けるべき相当の対価の算定に当たり考慮すべき被告の貢献度は、95%とするのが相当である」と述べている。 |