知財高裁(平成5年20日)“ピペリジン誘導体事件控訴人新システムに、システム上の瑕疵又は不具合は認められず、また、本件において、本件特許の第6年分特許料の納付により、完納コードが『完納』に設定され、第7年分の特許料納付期限が設定されなかった原因を明確に特定するに足りる立証はなく、上記原因が特定されない以上、控訴人が、上記原因に関し、通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしたこと及び上記原因が上記注意にもかかわらず避けることができないものと認められる事由に当たることを認めるに足りる主張及び立証もないものといわざるを得ない。そして、控訴人は、自己の自由な判断に基づいて本件移行作業を第三者に委託し、受託した日立情報システムズは、控訴人に対し、作業の各段階において文書で作業内容を報告していたというのであるから、仮に、受託者の過失に起因して本件移行作業に問題が生じ、控訴人が追納期間に本件特許料等を納付することができなかったとしても、当該過失は控訴人側で生じたものというべきであり、いずれにしても、特許法112条の2第1項所定の『その責めに帰することができない理由』があるとはいえない」と述べている。

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