大阪地裁(平成5年2月7日)“事件本件発明は、もともと鉄鋼製部品等に適用することを予定していたナイトロテック処理を、軟鉄製の鍋に適用したものということができる。ここにいう『軟鉄』の意義については、本件明細書には明確な記載はないものの、原告及び被告リバーライトが提出する各文献等・・・・からは炭素含有量が少ない鉄を意味するといえるところ、・・・・炭素含有量は、定量分析をすることによって判明するため・・・・、これらの販売、頒布等によって、公然に知られ得る状態にあったということができる」、原告は、一般人が・・・・同処理の内容を具体的に認識することはできないと主張するが、公然実施について、当該発明の内容を現実に認識したことまでは必要ではなく、知り得る状況で実施されていれば足りると解すべきであり、また、その判断の基準は一般人ではなく当業者と解すべきである」と述べている。

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