知財高裁(平成5年35日)“有機発光素子事件補正発明においては、本願明細書の表1ないし表9のとおり、陽極キャッピング層にd、g、又はrを含む構成とすることにより、陽極キャッピング層を設けない比較例又は陽極キャッピング層にd、g、r以外の物質を使用した比較例と対比して、輝度安定性向上の効果が生じていることが示されている。これに対し、引用文献や文献1及び2には、有機発光素子にrを含む層を設けることにより輝度安定性が向上することにつき、何の記載も示唆もない。したがって、補正発明の効果は、引用発明が有する効果とは異質の効果であり、引用発明や周知技術から当業者が予測し得ない効果であると認められ、補正発明は、当業者が容易に想到し得ない発明であるといえる」と述べている。

特許法の世界|判例集