東京地裁(平成25年3月6日)“テトラフルオロエチレン共重合体樹脂粉体組成物事件”は、「被告は、発明Tにつき他社にライセンスすることなく、専ら自己実施のみを行っていたと認められるから(弁論の全趣旨)、独占の利益は、実施品の売上高のうち、通常実施権の実施によっても得られたであろう売上高を控除した売上高(超過売上高)に仮想実施料率を乗じて、他社にライセンスしていた場合に得られたであろうライセンス料相当額をもって独占の利益と推定する(実施料率方式)か、超過売上高のうち実施品にかかる変動経費を控除した利益(限界利益)の割合をもって独占の利益と推定する(利益率方式)という2つの方式が考えられる」、「弁論の全趣旨によれば、超過売上高は、多くとも売上高の40%を上回らないものと認める」、「原告は、超過売上高に仮想実施料率を乗じるべきではなく、超過売上高に利益率を乗じるべきであると主張する。しかし、原告の主張する利益率40.9%は、平成18年12月期の、被告全体の売上高に対する売上総利益の割合であり、発明Tの実施品である本件2製品の利益率(売上高に対する限界利益の割合)は明らかでないから、本件においては利益率方式によって独占の利益を算定することはできず、超過売上高に仮想実施料率を乗じる実施料率方式によって独占の利益を算定するのが相当である」、「発明Tの属する有機化学製品(イニシャル無)の平成4年度〜平成10年度の実施料率は、最頻値3%、中央値4%、平均値5.5%であるから、本件における仮想実施料率は、多くとも5%を上回らないものと認める」と述べている。 |