知財高裁(平成25年4月11日)“液体調味料の製造方法事件”は、「本件明細書の発明の詳細な説明に、コーヒー豆抽出物及びγ−アミノ酪酸を本件発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合の実施例があり、それにより液体調味料の風味変化を改善し、本件発明の解決すべき課題を解決できることが示されているとしても、これらは、ACE阻害ペプチドを本件発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合し加熱処理した場合に、液体調味料の風味変化の改善という本件発明の解決すべき課題を解決できることを示したことにはならない。その他、本件明細書の発明の詳細な説明には、ACE阻害ペプチドを本件発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混同して加熱処理をした場合に、上記課題が解決されたことを示す記載はない以上、本件明細書の発明の詳細な説明に接した当業者は、血圧降下作用を有する物質としてACE阻害ペプチドを使用した場合を包含する本件発明1ないし5及び9が、液体調味料の風味変化の改善という課題を解決できると認識することができるとはいえず、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らして本件発明の課題を解決できると認識できることを認めるに足りる証拠もない」、「血圧降下作用を有する物質として、・・・・ACE阻害ペプチドを使用する場合を包含する本件発明1ないし5及び9は、・・・・発明の詳細な説明の記載により当業者がその課題を解決できると認識できるものではなく、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できるものであるともいえないから、サポート要件を満たすものとはいえない」と述べている。 |