東京地裁(平成5年68日)“屋根下地材事件「特許法10条1項・・・・により算定される損害額は市場機会の喪失に関し特許権者等に生じた逸失利益の全てを評価し尽くした結果であると認められる。他方、同条3項は、侵害者による特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を特許権者等が受けた損害の額としてその賠償を請求できるとするものであって、特許権侵害という不法行為により特許権者等が被った損害の立証の便宜を図るための規定であるから、上記のとおり、同条1項が特許権者に生じた逸失利益の全てを評価し尽くしており、これにより特許権者の被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させているものと解される以上、特許権者等は、同条1項により算定される逸失利益を請求する場合、さらにこれと並行して、同条3項に基づいて算定される額を請求することはできないと解するのが相当である」と述べている。

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