知財高裁(平成25年6月6日)“パソコン等の器具の盗難防止用連結具事件”は、「特許請求の範囲に記載された構成が機能的、抽象的な表現で記載されている場合において、当該機能ないし作用効果を果たし得る構成であればすべてその技術的範囲に含まれると解すると、明細書に開示されていない技術思想に属する構成までもが発明の技術的範囲に含まれることになりかねない。しかし、それでは当業者が特許請求の範囲及び明細書の記載から理解できる範囲を超えて、特許の技術的範囲を拡張することとなり、発明の公開の代償として特許権を付与するという特許制度の目的にも反することとなる。したがって、特許請求の範囲が上記のような表現で記載されている場合には、その記載のみによって発明の技術的範囲を明らかにすることはできず、上記記載に加えて明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し、そこに開示された具体的な構成に示されている技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきである。ただし、このことは、発明の技術的範囲を明細書に記載された具体的な実施例に限定するものではなく、実施例としては記載されていなくても、明細書に開示された発明に関する記述の内容から当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が実施し得る構成であれば、その技術的範囲に含まれるというべきである」と述べている。 |