東京地裁(平成5年89日)“情報データ出力システム事件原告らを含む出願人は、本件各特許権の出願経過において、特許庁審査官の本件各拒絶理由通知書・・・・に対して本件各意見書を提出し・・・・た。これをみると、原告らは、本件各発明が乙5発明とは異なるもので、かつ、当業者が乙5発明から本件各発明を容易に想到することができないものであることを裏付けるために、リーダーを用いて印刷した場合、文字フォントを統一することができず、クライアントがサーバと同一の文字フォント、サーバと同一の文字数(情報データの個数)で帳票を出力することができない場合があるのに対し、本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアにはこのような制約がなく、規則正しく最適なレイアウトで出力することができる旨主張しているのであるから、本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアはリーダーとは異なるアプリケーションソフトウェアを想定している旨の主張をしていることが明らかである。そうすると、本件各特許の出願経過においてこのような主張をし、その登録を受けた原告らが、本件訴訟において、これを翻し、リーダーが本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアに当たるとの主張をすることは、信義誠実の原則に反し、許されないというべきである」と述べている。

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