東京地裁(平成26年1月30日)“電話番号情報の自動作成装置事件”は、「被告は、・・・・売上高から、これを得るために要した費用として、別紙損害額一覧表の『費用』欄に記載された・・・・各費用を控除すべき旨主張するものである。そこで判断するに、上記費用のうち、外注費・・・・、拠点費用・・・・、通信料・・・・、消耗品費等・・・・、営業人件費・・・・、営業交通費・・・・、販売促進費・・・・及び個別原価・・・・については、・・・・侵害行為による利益を得るために追加的に要した費用であると認められるので、その全額を控除すべきである。これに対し、被告本社ビルの地代家賃・・・・、被告本社ビルの電話料金や機器のレンタル料等の共有経費・・・・は、その性質上、侵害行為による利益を得るために追加的に要した費用であると認めることはできない。また、被告装置を使用して電話番号の利用状況を調査するために必要な機器の減価償却費・・・・についても、追加的に要した費用であると認めるに足りる証拠はない。一方、被告装置による調査に使用するプログラムやTel2鑑定団専用のアプリケーションソフト作成に従事した従業員についての開発人件費・・・・については、被告は開発に従事する全従業員の人件費をTACS事業と被告事業とで2分の1ずつに割り付けた金額を控除すべきであると主張するが、TACS事業と被告事業の売上高により按分した額について、被告事業により利益を得るために追加的に要した費用であると認めるのが相当である。そして、被告におけるTACS事業と被告事業の売上高は、平成19年1月1日〜同年12月31日はそれぞれ4億3038万2000円と2億0074万5000円、平成20年1月1日〜同年12月31日はそれぞれ3億7903万円と2億0345万円、平成21年1月1日〜同年12月31日はそれぞれ2億8066万円と2億3750万7000円であるから・・・・、TACS事業と被告事業の合計売上高に対する被告事業の売上高の比率は、平成19年は32%、平成20年は35%、平成21年は46%である(小数点以下四捨五入。以下同じ。)。そこで、開発人件費総額について、被告装置2(使用期間は平成19年9月〜同年11月末日)は32%、被告装置3(使用期間は平成20年1月〜同年10月末日)は35%、被告装置4(使用期間は平成20年11月〜平成21年2月25日)は40%(平成20年と平成21年の各割合及び使用期間を勘案したもの)となるので、これら各割合を被告事業の開発人件費として控除すべきである」と述べている。 |