東京地裁(平成6年0日)“電話番号情報の自動作成装置事件特許法102条2項により損害の額を算定するに当たり、被告が得た利益のうちに当該特許発明の実施以外の要因により生じたと認められる部分があるときは、同項による推定を一部覆滅する事情があるものとして、その分を損害額から減ずることが相当である。これを本件についてみると、被告は被告事業による利益を得るために被告の保有する3件の特許権に係る特許発明を実施していること・・・・、本件発明と同様の調査データを取得し得る方法として被告装置5の実施態(b等の代替的な方法があることに照らすと、本件発明の技術的意義はさほど高くなく、被告事業による利益に対する本件特許の寄与は限定的なものであるというべきである。さらに、特許権侵害期間の被告の顧客のうち6割以上は本件特許権の特許登録前からの被告の顧客であること・・・・、原告の事業や被告事業と同種のサービスが多数存在していること・・・・など本件の証拠上認められる一切の事情によれば、上記利益が特許権侵害による原告の損害であるとの推定を覆滅する事情があると認められ、その割合は5%であると評価するのが相当である。したがって、特許法102条2項に基づいて算定される損害額は、上記・・・・の利益額に5%を乗じた2498万5556円であり、原告がこれを上回る損害を被ったことを認めるに足りる証拠はない」と述べている。

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