知財高裁(平成6年0月9日)“樹脂封止金型事件一審被告は、金型に関する発明である本件発明から一審被告の受けた利益は、当該金型を使用して製造された半導体装置の売上高とは関連性を有しない旨の主張をする。しかしながら、物(半導体装置)を生産する物(金型)の発明において、当該発明に係る物(金型)を用いて生産された物(半導体装置)を譲渡することは、当該発明の実施ではないが、職務発明の承継により使用者等が受けるべき利益は、発明の実施自体から得るべき利益に限定される理由はないのであり、発明の実施と直接的な関連性があれば足りると解すべきである。一審被告は、半導体装置を譲渡するために本件発明を実施したのであり、半導体装置を譲渡したことにより一審被告が得た利益の一部は、本件発明の本来的な目的・用途に従って通常生じるものであって、本件発明を実施することにより一審被告が得た利益というべきである。一審被告の上記主張は、採用することができない」と述べている。

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