東京地裁(平成6年0月9日)“疲労特性に優れたu-i-i系合金部材事件本件明細書の発明の詳細な説明には、特許請求の範囲に記載された数値範囲全体についての実施例の開示がなく、かつ、実施例のない部分について実施可能であることが理解できる程度の技術的な説明もないものといわざるを得ない」、「したがって、本件発明は、特許請求の範囲で、粗大な介在物が存在しないものも含めて特定しながら、明細書の発明の詳細の説明では、粗大な介在物の個数が最小で5個/mmである発明例を記載するのみで0個/mmの発明例を記載せず、かつ、全ての粗大な介在物の個数を低減する方法について記載されていないことなどからすれば、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件発明の少なくとも一部につき、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない」と述べている。

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