知財高裁(平成6年1月0日)“アミン反応化合物事件一般に、化合物の分解速度は、化合物が置かれた温度、湿度等の環境条件のみならず、化合物自体の構造や電子状態等に複合的に依存して、化合物ごとに、分解を受ける部位や分解の機序に応じて異なるものであるから、通常、当業者といえども、実際に実験をしない限り予測し得るものではない。このことは、本願請求項1の反応生成物からの香料成分の放出についても同様であると解され、本願請求項1のアミン化合物が様々なものを包含するものである以上、一定の環境下であっても、・・・・分解を受けて香料成分を放出する速度はそれぞれ異なるものと解される「本願発明の課題を解決するには、香料成分生成の速度がほどよく遅延して、香りの残留性が改良されることが必要であると解されるところ、本願明細書・・・・には、芳香物質の生成の機序が記載されているにとどまり、その機序に従って反応生成物が分解され芳香物質を生成する速度等に関しては何ら記載されていない以上、本願明細書・・・・の記載をもって、当業者が本願発明の課題を解決できると認識できる程度の開示があるものということはできないそうすると、・・・・本願請求項1・・・・の記載は特許法6条6項1号に適合しないとする審決の結論に誤りはない」と述べている。

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