東京地裁(平成6年2月5日)“マンホール用のインバート事件本件明細書の発明の詳細な説明・・・・によれば『凹溝1は、直径152025の導流溝0aに対して段部1a、1aの段差が1〜5度に設定されており、導流溝0aの断面形状は、たとえば、正半円より約度上方に高く延長して形成されている』などの記載があり、インバート底部に跳返り防止用の凹溝を施すにあたっての一応の目安が提示されているのであって、当業者は、これをもとにインバート採用箇所の流量等の変化の予測等に応じて、適宜のインバートを施工することができるというべきであり、この際、多少の試行錯誤を要求されるとしても、これを過度の負担とまでいうことはできない。また、本件発明のように比較的複雑でない構造の発明の場合に、汚水の流量、管渠の構造等による条件の違いにより、インバート底部にどのような凹溝を設けることが適切かについて、すべて実験して明細書の発明の詳細な説明に記載しなければならないというものではない。現に、被告は、比較実験2において、本件明細書の記載を元に実験を行うことができているのである(この比較実験2の結果について、被告は本件発明の作用効果がないことを明らかにしている旨主張するが、・・・・比較実験2の結果により、本件発明が所望の作用効果を奏することは、明らかである。)。以上によれば、本件明細書の発明の詳細な説明には、当業者が実施可能な程度に明確かつ十分な記載がされていると認めることができ、本件特許に実施可能要件違反の無効事由があるとの被告ら主張は、採用することができない」と述べている。

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