東京地裁(平成6年4日)“超音波モータと振動検出器とを備えた装置事件近年において手振れ補正機能の搭載が要望され、手振れ補正機能を搭載した交換レンズが増加していることに照らせば、手振れ補正機能の搭載は需要者に対して訴求力があるものといえ、被告も被告製品の手振れ補正機能をうたっている。しかしながら、交換レンズにおいては、あくまでもレンズの光学性能が主要な性能であり、これは被告のカタログの記載をみても明らかである。また、手振れ補正機能は、撮影条件(例えば三脚使用の場合やシャッタースピードを高速に設定できる場合)によっては不要である場合もあるし、いまだ手振れ補正機能を搭載しない交換レンズが販売されていることに照らしても、交換レンズにおいて必須の機能であるとまではいい難い。また、被告製品は、その手振れ補正を機能させる前提として、角速度センサ(ジャイロセンサ)による角速度の検出を妨げないように、本件特許発明の構成を採用したものである。本件特許発明は、超音波モータと角速度センサを備える装置において、手振れ補正を機能させる前提として重要な発明ではあるが、それだけでは手振れ補正機能を実現できるものではなく、被告製品をみても手振れ補正機能の実現には、・・・・様々な制御が必要である。以上の事情を考慮すると、本件特許発明の被告製品に対する寄与としては5%を認めるのが相当である」、以上のとおり、寄与率は5%で相当であるから、これを被告の限界利益である(省略●円に乗じると、・・・5億1804万4322円(1円未満切捨て)となる。したがって、特許法102条2項の推定による損害額は5億1804万4322円である」と述べている。

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