東京地裁(平成26年3月20日)“動物用排尿処理材事件”は、「被告は、不当利得対象期間(サイト注:損害賠償請求権が時効により消滅した期間)中、本件発明の実施許諾を得ないまま、その技術的範囲に属する被告各製品の製造販売をしたのであるから、少なくとも実施料相当額につき法律上の原因なくして利益を得、原告ペパーレットはこれと同額の損失を被ったということができる」、「本件発明の実施料率についてみるに、・・・・カラーチェンジ機能は猫砂に求められる複数の機能のうちの1つにとどまり、顧客がこれを他の機能より重視しているとはいえないものの、紙製の猫砂全体に占めるカラーチェンジ機能を有する製品の割合が、固まり性や消臭性を備えた猫砂の商品化後も徐々に拡大し、5割程度に達していることからすれば、カラーチェンジ機能は、同種製品の販売上、不可欠ではないとしても有益な機能とみるべきものである。そして、被告各製品の包装をみても、製品ごとに強調の程度は異なるものの、カラーチェンジ機能をセールスポイントとして扱っている。また、実施料率について調査した文献によれば、本件発明の実施品が属するパルプ、紙加工品等の分野における実施料率は3%程度の契約例が多いとされている・・・・。これらの事情を総合すれば、本件における実施料率は、売上額の3%と認めるのが相当である。したがって、原告らが返還を請求し得る不当利得の額は、合計1248万0768円(4億1602万5629円×3%)となる」、「これに対し、被告は、・・・・被告と原告ペパーレットの間の実施許諾契約において実施料が月額20万円と定められていたことなどを根拠に、実施料率は0.5%にとどまる旨主張する」、「原告ペパーレットと被告が本件特許につき実施許諾契約を締結したのは平成11年であり、これと同時に原告ペパーレットが被告の有する2件の特許権につき実施許諾を受けていたことが認められる。そうすると、上記契約による実施料は当時の両社の関係及び猫砂の販売状況を踏まえて約定されたものと解されるから、平成19年以降の不当利得対象期間に被告が無許諾で本件発明を実施したことについての上記実施料率の判断を左右するものではないというべきである。したがって、被告の上記主張は・・・・採用することができない」と述べている。 |