東京地裁(平成6年0日)“装身具用連結金具事件被告は、原告製品と被告製品の価格差が大きいこと、装身具用連結金具の市場における原告のシェアが0%程度であり、複数の競合品が販売されていることから、被告製品の譲渡数量の一部につき『販売することができないとする事情(特許法102条1項ただし書)があると主張する。そこで検討すると、・・・・@ 原告製品の販売価格は1個859.5円であるのに対し、被告製品は約467.5円であること、A 装身具用連結金具製品を販売する業者は原告と被告のほかにも複数存在することが認められる。しかしながら、@ 価格差のあることが上記ただし書の事情に当たり得るものであるとしても、本件においては、・・・・装身具用連結金具がネックレス等の環状装身具の部品の1つとして使用されるものであり、最終製品である環状装身具の価格が連結金具の価格を大きく上回るものであることに照らすと、原告製品と被告製品に上記の程度の価格差があることから原告製品につき『販売することができないとする事情』があると認めることはできない。また、A 他社の装身具用連結金具製品が、本件発明と構成を異にするものであり、かつ、操作性が容易であり、構造が簡単でコスト的にも優れているという本件発明と同様の効果を奏するものとして、原告製品の競合品となり得る特徴を有するものであるかは明らかではない。したがって、被告の上記主張はいずれも採用できない」と述べている。

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