大阪地裁(平成26年4月22日)“立体像記録再生装置事件”は、「使用者利益から使用者貢献度を控除した額は、以下のとおり、232万2922円にとどまる。[計算式](3,229,226+20,000,000)×(1−0.9)=2,322,922(1円未満切捨て)」、「以上によると、・・・・特許法35条5項(サイト注:現7項)に基づいて算定される職務発明の相当対価額が、・・・・既払額1450万円を上回ることはないというべきである」、「被告は、原告に対して支払った職務発明対価の仮払金合計1450万円が、職務発明の相当対価額を上回っているため、仮払金の精算合意に基づき、その差額分が返還されるべきである旨主張する。この点、・・・・特許法35条5項に基づいて算定される職務発明の相当対価額は、上記既払額である1450万円を上回るものではない。しかし、・・・・被告は、原告に対し、各月15万円(サイト注:給与)を超える部分は仮払金として支払う旨説明し、原告もこれを了承したことが認められるが、仮払金は、会計上最終的な勘定科目や金額が確定しない支払があった場合、それらが確定するまで一時的に使用する勘定科目であるというにとどまり、仮払金名目とする旨の説明と了承があったからといって、被告の主張するような精算の合意があったことを直ちに意味するものではない。他にそのような精算合意の存在を認めるに足りる証拠はない上、原告の賃金が各月15万円にとどまっていたことも考慮すれば、原告と被告の間で、LRP事業が大きな利益を上げ、職務発明の相当対価額が仮払金としての既払額を上回る場合に既払の仮払金を精算処理することが想定されていたかはともかく、その逆の場合に差額分を返還する旨の合意が成立していたとはいえない」、「また、被告は、上記差額分が不当利得に当たるとも主張するが、・・・・仮払金として扱われた上記1450万円は、被告から原告に対して職務発明対価として支払われたものであるから、法律上の原因を欠くものではない(もとより、使用者が従業者に対し、特許法35条5項によって算定される額を上回る職務発明対価を支払うことが可能なのは当然であり、それが不当利得とされるべき理由はない。)」と述べている。 |