東京地裁(平成6年4日)“曲げ加工性が優れたu-i-系銅合金条事件X線回折強度を測定する方法には積分強度法とピーク強度法がある。本件発明の構成要件Eの板面方位指数及び構成要件Fの・・・・面集積度を求めるに当たり、X線回折強度をいずれの方法で測定するかについては特許請求の範囲にも、本件明細書の発明の詳細な説明欄にも記載されていないが(実施例に関して、測定に使用する機器の名称と、管球の種類、管電圧及び管電流が記載されているにとどまる。・・・、原告は、銅合金条に係る本件発明においては積分強度法によるべきことは明らかである旨主張する」、本件特許の特許出願時において、圧延等の工程を経た銅又は銅合金の性質を特定するための圧延面等のX線回折強度の測定方法として積分強度法とピーク強度法のいずれを採用するかについては、発明ごとに出願人が選定することが多いといえるのであって、本件発明に接した当事者が本件発明の技術的内容や本件明細書の記載から積分強度法が採用されていると認識すると認めるべき証拠はない。そうすると、原告の上記主張を採用することはできず、本件発明の構成要件E及びFにおける圧延面のX線回折強度については、積分強度法とピーク強度法のいずれにおいてもその数値限定の範囲内にある必要があるものと解するのが相当である」と述べている。

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