東京地裁(平成26年7月10日)“スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法事件”は、「被告が平成22年1月1日から平成25年10月31日までの間に被告製品を販売した合計金額は55億8300万円である」、「そこで、原告が被告による本件発明の実施に対し受けるべき金銭の額(特許法102条3項)について検討する」、「実施料率に関しては、@ 平成4年度〜10年度の無機化学製品の契約件数(イニシャルペイメントなし)は3件であり、実施料率別では5%が2件、2%が1件であった旨、A 平成21年頃の国内企業へのアンケートによると化学分野の実施料率は平均5.3%であった旨、B 平成9年〜20年に損害賠償訴訟で判断された化学分野の実施料率は平均3.1%であった旨の調査結果が報告されている」、「本件発明は二次電池の正極材料の基本性能に関するものであり、被告製品は、本件発明の技術的範囲に属する被告方法により製造されたものとして、高温保存特性が優れるという効果を奏するものということができるが、他方、被告製品の売上げに関しては、それ以外にも二次電池に求められる・・・・各性能を被告製品が有していることによる部分が大きいと推認される。以上に説示した本件の諸事情を総合すると、原告が被告による本件発明の実施に対し受けるべき金銭の額は、・・・・55億8300万円に2%を乗じた1億1166万円と認めるのが相当である」と述べている。 |