知財高裁(平成26年9月24日)“知識ベースシステム事件”は、「原告は、本件補正発明は、『香り、味、熱さ冷たさ、映像、音などの記憶を統合することにより、『意味あるいは概念』が生じ、この『意味あるいは概念』を識別するものが広義の『言葉』と呼ばれているものである』という自然法則を利用した技術的思想の創作によって生み出されたものであるなどと主張する。しかしながら、原告の主張する『自然法則』は、意味、概念、言葉をどのようなものとして捉えるかという抽象的な概念の整理をするものであって、人の精神活動に基づくものというべきであり、自然界の現象や秩序に関する因果関係とは無関係であるから、自然法則には該当するものではない。本件補正発明は、物を符号により識別した上で、言葉に関連するデータとそれ以外のデータに分類するという整理方法を提示したにすぎず、その整理方法が何らかの自然法則を利用しているとはいえず、また、その整理方法(データ構造)をとることによって、コンピュータによる処理効率が高まるなど何らかの技術的な効果が得られるともいえない。したがって、原告の主張は理由がない」と述べている。 |