知財高裁(平成26年9月24日)“絵文字形成皿事件”は、「原告は、本件審判において、無効理由2として、本件発明1及び2は、本件出願前に頒布された刊行物である甲8ないし17に記載された発明と同一の発明であり、本件特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである旨主張した」、「本件審決は、本件発明1についての無効理由2が理由がないとの結論を導くに当たり、『甲第8号証、甲第12号証、甲第16号証については本件出願前に頒布された刊行物ではない。』 ので、『『甲第9号証、甲第10号証、甲第11号証、甲第13号証〜甲第15号証、17号証』について、本件発明1と対比検討する。』とし、『ア 対比・判断』の項において、『『本件発明1の発明特定事項の一部である『絵柄または文字が、液体調味料を多く注ぐに従って変形するように、皿の上面の凹凸部を立体的に形状変更して形成した』ことが、前記甲各号証に記載されているかどうか検討する。』とした上で、『甲第9号証、甲第10号証、甲第11号証、甲第13号証、甲第15号証、甲第17号証』については、本件発明1との対比検討を具体的に行っているが、一方 で、『甲第14号証』については、本件発明1との対比検討を何ら行っていないことが認められる。そうすると、本件審決は、本件発明1についての無効理由2のうち、本件発明1は甲14に記載された発明と同一の発明であるとの部分については、甲14に記載された事項と本件発明1との対比検討を何ら行うことなく、本件発明1の発明特定事項の一部である『絵柄または文字が、液体調味料を多く注ぐに従って変形するように、皿の上面の凹凸部を立体的に形状変更して形成した』ことは記載されておらず、本件発明1は、甲14に記載された発明ではない旨判断したものであるから、本件審決には、甲14を引用例とする無効理由2が理由がないとの結論を導き出すための理由の一部が欠けており、理由不備の違法があるといわざるを得ない」、「そして、本件審決における上記理由不備の違法は、本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである」と述べている。 |