知財高裁(平成26年9月25日)“キナゾリン誘導体事件”は、「本件先行処分と本件処分の各承認に係る内容を比較してみると、本件処分における本件医薬品の・・・・効能又は効果は、本件先行処分において承認された本件医薬品のそれ、すなわち、『手術不能又は再発非小細胞肺癌』の範囲を限定したものという関係に立つものと認められる。そうすると、本件処分において禁止が解除された範囲は、本件先行処分の禁止の解除の範囲に包含されるものということになる。すなわち、本件先行処分は、EGFR遺伝子変異陽性か陰性か、ないしは、化学療法未治療例か化学療法既治療例かを問うものではないから、本件処分の『EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌』との効能又は効果によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為、及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は、本件先行処分によって既に解除されていたものというほかない。そうすると、本件処分については、『本件先行処分を受けたことによって既に禁止が解除されている』と評価判断することができるものであるから、本件処分を受けたことは、特許法67条の3(サイト注:67条の7)第1項1号の『その特許発明の実施に第67条2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないとき。』の拒絶要件に該当するものというべきである」と述べている。 |