知財高裁(平成26年9月29日)“縁なし畳事件”は、「審判請求書・・・・の『本件特許を無効にすべき理由』欄に具体的な記載はないものの、審判請求書の『請求の理由の要約』欄には、請求項3について甲10を引用例とする公然実施に関する記載が明確に存在し、・・・・無効理由として実質的な理由が記載されていると十分評価することができる。そして、その後の審判手続において同主張を撤回したと認められない・・・・。他方、被告らも、請求項3について甲10を引用例とする公然実施に関する記載がないことを前提に反論をしていたとは認められず、この点を審決が判断することが、被告らにとって不意打ちとなるものではない。したがって、無効審判手続において、請求項3について甲10を引用例とする公然実施に関する主張があり、当事者双方でその点について攻防が尽くされたと認められるにもかかわらず、審決は、その点についての判断を何ら示さなかったことになる」、「以上によれば、審決には、無効請求不成立の判断をするに当たり、原告の無効理由に関する主張に関して判断を遺漏したという違法があることは明らかである。そして、この点は、審決の結論に影響を及ぼすおそれがあると認められる」と述べている。 |