知財高裁(平成27年1月22日)“暗記学習用教材事件”は、「『発明』は、・・・・『自然法則を利用した』技術的思想の創作であるから、単なる人の精神活動、抽象的な概念や人為的な取り決めそれ自体は、自然界の現象や秩序について成立している科学的法則とはいえず、また、科学的法則を利用するものでもないから、『自然法則を利用した』技術的思想の創作に該当しないことは明らかである。したがって、請求項に記載された特許を受けようとする発明に何らかの技術的手段が提示されているとしても、・・・・全体として考察した結果、その発明の本質が、人の精神活動、抽象的な概念や人為的な取り決めそれ自体に向けられている場合には、『発明』に該当するとはいえない」、「本願発明の技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義を総合して検討すれば、本願発明は、暗記学習用教材という媒体に表示される暗記学習用虫食い文字列の表示形態及び暗記学習の対象となる文字列自体を課題を解決するための技術的手段の構成とし、これにより、文字列全体の文脈に注意を向けた暗記学習を効率よく行うことができるという効果を奏するとするものである。そうすると、本願発明の技術的意義は、暗記学習用教材という媒体に表示された暗記すべき事項の暗記学習の方法そのものにあるといえるから、本願発明の本質は、専ら人の精神活動そのものに向けられたものであると認められる。したがって、本願発明は、その本質が専ら人の精神活動そのものに向けられているものであり、自然界の現象や秩序について成立している科学的法則、あるいは、これを利用するものではないから、全体として『自然法則を利用した』技術的思想の創作には該当しない。以上によれば、本願発明は、特許法2条1項に規定する『発明』に該当しないものである」と述べている。 |