知財高裁(平成27年1月29日)“角度調整金具事件”は、「本件特許発明の『くさび面(8)』は、@第1軸心を中心側とした場合にギア部の外周歯面より外方側位置に形成され、Aギア部の外周歯面との間にくさび形の空間部を形成し、かつ、B第1アーム側に形成されるものを意味し、本件特許発明は、第1アームのケース部にくさび形窓部を形成することによりくさび面を設けるという形態のみならず、これを設けずに第1アームとは異なる部材により形成する等の他の形態をも含むものと解されるから、原出願明細書(サイト注:原出願の願書に最初に添付した明細書及び図面)に開示された技術的事項を上位概念化するものであって、上位概念化された上記技術的事項が原出願明細書に実質的にも記載されているということはできない」、「本件出願は、原出願との関係で、特許法44条1項の『二以上の発明を包含する特許出願』から分割した『新たな出願』に該当しない不適法なものというべきである。そうすると、本件特許に係る出願日は、原出願の時まで遡及することはなく、現実の出願日である平成21年8月5日となる」、「原出願明細書に記載された『第1アームのケース部に形成されるくさび形窓部によってその外方側に形成されるくさび面』は・・・・、本件特許発明の構成要件Cの『くさび面(8)』に含まれるから、本件特許発明の構成要件Cは原出願明細書に記載されているものと認められる。また、本件特許発明の他の構成要件も、いずれも原出願明細書に記載されているものと認められる・・・・。そして、原出願明細書は、原出願公開公報・・・・に記載されているから、本件特許発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物である原出願公開公報に記載された発明と同一であると認められる。よって、本件特許は、特許法123条1項2号、29条1項3号により、特許無効審判により無効にされるべきものと認められる」と述べている。 |