大阪地裁(平成7年月1)“発泡合成樹脂容器事件「本件における特許法102条2項の被告の利益の額について検討するに、ここにいう『利益の額』とは、侵害者が侵害行為を行うことによって追加的に得た利益を意味し、侵害品の売上額から、侵害品の製造販売のために追加的に必要となった費用を控除することにより算定するのが相当であり、具体的には、変動費のほか、侵害品の製造販売に追加的に必要になったと認められる限り、固定費も控除するのが相当である」、「新金型は、被告製品製造のために、旧金型を改造して作製されたものと認められるところ、旧金型から新金型への改造に8万円を要したことについては、当事者間に争いがない。そして、被告製品を製造するための旧金型改造費は、侵害者製品の製造に直接必要な個別固定費というべきであり、その後、被告製品の製造中止に伴い、同金型が再改造に付されたことからすれば、改造に要した8万円分の価値が、再改造後の金型に残存していると認めるに足りない。よって、8万円全額が経費として控除されるべきである」、「弁論の全趣旨によれば、被告製品製造のために、燃料費としてガス代、電気代が必要となるところ、これは、変動費として売上高から控除されるべきものである」、「原告は、被告提出の証拠・・・・から認定されるガス代及び電気代が、被告製品の製造以外にも使われた可能性がある旨指摘するが、これを認めるに足りる的確な証拠はないことから、採用できない」と述べている。

特許法の世界|判例集