東京地裁(平成7年)“豚用飼料事件発明者とは、特許請求の範囲に記載された発明について、その具体的な技術手段を完成させた者をいう。ある技術手段を着想し、完成させるための全過程に関与した者が1人だけであれば、その者のみが発明者となるが、その過程に複数の者が関与した場合には、当該過程において発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与した者が発明者となり、そのような者が複数いる場合にはいずれの者も発明者(共同発明者)となる。ここで、発明の特徴的部分とは、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち、従来技術には見られない部分、すなわち、当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける部分をいう。なぜなら、特許権は、従来の技術では解決することのできなかった課題を、新規かつ進歩性を備えた構成により解決することに成功した 発明に対して付与されるものであり(特許法9条参照、特許法が保護しようとする発明の実質的価値は、従来技術では達成し得なかった技術課題の解決を実現するための、従来技術には見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を、具体的構成をもって社会に開示した点にあるから、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち、当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける部分の完成に寄与した者でなければ、同保護に値する実質的な価値を創造した者とはいい難いからである」と述べている。

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